セラホール名取|D家様 ― 優しさに包まれた“静かな旅立ち”

不安を胸に寄せて始まったご相談

「体調が悪く外出できないので自宅で相談したい」というメールはN様ご本人様から送られたものでした。ご自宅へ相談に向かうとN様のご主人が迎えてくださり、「察してください」と一言だけ。深い愛情と覚悟を感じるお言葉でした。N様は体調がすぐれない中でも「お義母様が縫ってくださった浴衣を最期に着たい」「お墓は樹木葬で花があるところがいい」というご希望や「いざという時にどのようにすればいいのか」「宿泊や式場はどうすればよいのか」と、静かに言葉を選びながら自身の考えや不安な点をお話しくださり、私たちはその一つ一つ丁寧にお答えしました。ご主人から「病院で看取りになるかもしれない」お電話が入ったのは相談からわずか数日後。看護師から「万が一の際は浴衣を準備してほしい」と言われたとのことでした。「それは葬儀社で用意できるのですか?」とのお問いかけに、「はい、当社で準備可能です」とお伝えすると、少しほっとされたようでした。

ご本人の想いを形に ― “シンプルでいい”という願い

ご本人は、「できるだけシンプルに」と望まれていました。宗教者を招かず、お別れ会のような温かい時間を希望され、式場はセラホール名取を選ばれました。お棺は柔らかな桜色の「桜風」。窓からお顔がよく見える仕様で、ご家族の想いに寄り添うような優しいデザインでした。控室での宿泊や、分骨証明書の手続き、樹木葬への関心など、多くのご不安を一つずつ丁寧に整理しながら進めていかれました。「何をどうすれば良いか分からない」というお気持ちに寄り添いながら、お寺やお墓に関する選択肢をお伝えしました。

“想いを伝えるお別れ会”という新しい形

葬儀当日は、ご家族の中には悲しみで立ち上がることができなくなってしまった方もおられましたが、スタッフは一人ひとりに寄り添い続けました。出棺直前、駆け込まれた参列者の方にも落ち着いて対応し、しっかりとお別れをしていただきました。「静かだけれど、心がこもっていて良かった」そんな言葉が、ご家族の口から自然とこぼれました。

ご家族の想いと、スタッフの心の学び

ご葬儀を通して印象的だったのは、喪主であるご主人様の“想いの深さ”でした。儀式の流れひとつひとつに気を配り、親族の方々を大切にするその姿に、スタッフも心を打たれました。最後に胡蝶蘭の花束をお渡しし、ご主人様の手でお棺に納めていただく瞬間、会場には静かな涙があふれました。一方で、スタッフにとっても学びの多い時間でした。「ご遺族に寄り添い、想う心を大切に」――その想いを胸に、次の式に臨む姿勢が芽生えたご葬儀でもありました。

最後に ― “静かであたたかいお見送り”のかたち

N家様のお別れ会は、華やかさだけではなく、想いの深さで満たされた式でした。ご本人の「シンプルに」「自然に」という願いと、ご家族の「心を込めて見送りたい」という想いが、穏やかに重なり合ったひととき。葬儀とは、形式ではなく“想いを伝える時間”であることを、改めて感じさせていただきました。私たちはこれからも、ご家族に寄り添い、その想いを形にするお手伝いをしてまいります。どんな小さなご希望でも、どうぞお話しください。「安心」は、語り合うことから生まれます。