仙台鈎取|M家様 ― ご家族が大切にしてきた故人様の姿と想い

お別れの時間を大切にすることから始まった式

今回のお手伝いは、M 家様の一日葬でした。式場となった杜の都の家族葬 仙台鈎取では、静かで落ち着いた雰囲気の中、故人様との“最後のひととき”をいかに大切に過ごしていただけるかを最優先に準備を進めました。
告別式の30分前、喪主様とお会いし、お母様とのご関係やこれまでの歩みを伺いました。
事前に宗教者様からもご家族の背景を聞いていたこともあり、喪主様が式の中でどのタイミングで気持ちを整えられるか、どの瞬間をもっとも大切にされるかを考えながらお見送りの流れを組み立てました。

喪主様のために「お別れの時間」を守る工夫

ご挨拶や参列者対応で忙しく動かれていた喪主様が、最後だけは故人様のそばで、静かに向き合えるようにしたい——。
その思いから、お別れ花の進行にひと工夫を加えました。
まずは参列者全員にお花を先にお渡しし、喪主様のお別れの時間と重ならないように動きを調整。
そして喪主様が故人様へお花を手向ける際には、ほかの方が動かず、視線も集中しないよう、会場全体の流れをゆっくりと整えていきました。
「喪主様が故人様と過ごす時間を最大限に守る」その想いが形になった、静かで深いお別れの時間となりました。

“寄り添うこと” をあらためて考えた施行

ご家族に寄り添う中で私たちは、喪主様から語られるお母様の人柄や、これまでの暮らし、母として生き抜かれた強さと優しさを静かに受け止めました。
「十人十色で、正解は一つではない」、「だからこそ、目の前のご家族の心に寄り添いたい」、スタッフがそう感じた施行でもあり、学びが深まる時間となりました。

故人様の“好き”を形にしたプラン選択

打合せでは、故人様が
・お花が好き
・特に胡蝶蘭が好き
・ガラス玉の制作を趣味とし販売もしていた
というお話を伺いました。

「お花がないよりは、あったほうが良い」というご家族の想いから、祭壇に生花をお供えするプランをご希望。
一方で、安骨場所が未定であることや返礼品の準備など、いくつかの不安も共有されました。
私たちは「どんな場所でも、喪主様が供養していけるところであれば大丈夫ですよ」「返礼品は返品もできます」と丁寧に説明し、気持ちの負担を少しずつ軽くしながら進めました。
最終的には“お花がある祭壇にしたい” という家族の想いを大切にされたプランで決定しました。

最後に ― 心の距離をそっと近づけるお手伝いとして

M家様のお見送りは、ご家族が大切にしてきた故人様の姿と想いを、式の中でどう表現し、どう守るかを丁寧に考える時間でした。
お別れの流れひとつをとっても、喪主様が故人様に寄り添える瞬間を守りたいという願いが形になり、式場全体が優しさに包まれた時間となりました。
そして私たちも、「寄り添うとは何か」をあらためて感じる施行となりました。これからも、ご家族の声に耳を澄ませ、その人らしいお見送りを丁寧に形にしてまいります。